オーデル演習作戦(第14話)

北海 ルドルフ空軍基地 201Y/1/07 射撃場


鷲が操縦桿のトリガーを引くとFS-04の右ストレーキに収められた機関砲が重い発射音と共に曳光弾を吐き出す。
梯子を登ってきた整備長が鷲に顔を寄せる。
「どうだい?」
「まだ下にズレてるな」
鷲は標的に穿たれた穴を睨むと首を横に振る。
「あと0.1上げてみよう」
「頼む」
整備長が機関砲の整備ハッチを開け、クルーに指示して機関砲の角度を調整する。
「調子はどうですか?」
「ま、一通りは終わった感じだな」
 声に気づいた鷲が操縦席から身を乗り出す。魔女は空になった箱の上に座ってこちらを見上げていた。首には防音用の耳あてをかけている。
「出来たぞ」
「ありがとう」
 整備ハッチを閉じた整備長とクルーたちが機体から離れ、防音用の耳あてを装着する。
 魔女も耳あてをつける。鷲は全員が退避位置に入ったことを確認すると操縦桿のトリガーに指をかける。射撃場に断続的な爆発音が響いた。
「完璧だ」
 トリガーから指を離した鷲は標的の様子を確認すると満足げに頷く。標的の中央を示す赤い点は27ミリ徹甲弾に撃ち抜かれて暗い穴になっていた。
「ナイスショット!」
「皆のおかげさ。整備リストはどうだ?」
 ガッツポーズをする若い整備兵に鷲は親指を立てる。
「機関砲の調整で最後です。お疲れ様でした」
「うっし、ひと息入れるか。中尉、奢るぞ」
 言うが早いか鷲は軽い足取りで機体から降りる。声をかけられた魔女も腰を上げてホコリを払う。
「ご馳走になります」
「土産話と交換だ」
 鷲は椅子に腰を下ろすと右手に持っていた紙コップを魔女に渡す。魔女は二、三度息を吹きかけて冷ましてから口をつける。
「冬休みはどうだった? 祖国は久しぶりだったんだろ?」
「これといって変わりはなかったですよ。新しい電波塔が立ったくらいです」
 魔女は車窓から見た鉄塔を思い出す。白く塗られたトラス構造の電波塔が雑多な市街を見下ろしていた。
「アジア最大の電波塔だっけか? 山がちな国ってのも大変だよな」
「それなりに。はいどうぞ、お土産です」
 魔女は懐から取り出した紙袋を鷲に渡す。
「オマモリってやつか。何の効き目があるんだ?」
 鷲は渡された紙袋の封を手早く切ると中に入っていたものを手にとって眺める。白地に銀色で複雑な紋様が描かれ、金色の漢字が四つ縦に並んでいる。
「厄除祈願、悪いことが降りかからないようにです」
「例えば、燃える火の壁とかか?」
「そんなところです」
「計器盤にでも吊るしておこう」
 鷲は御守りをのポケットにしまい込むと椅子に座り直す。本業の話をするサインを感じ取った魔女も姿勢を正す。
「さて、と。こっからは真面目な話だ」
「はい」
 魔女は首を静かに縦に振る。
オーデル演習の参加日程が決まったそうだ。来週にも詳細が発表される」
「空母同士の艦隊決戦、70年ぶりですね」
 オーデル演習とは、皇国海軍と王国海軍によって行われる大規模な合同演習のことで、陸上機や潜水艦隊までも動員しての大演習である。
 もちろん相互の部隊運用を研究しより効果的な作戦行動をするためという名目だが、今回の演習の最大の目玉は両軍から正規空母が参加することにある。
 皇国海軍からは新鋭空母「シナノ」と模擬空戦では無敗と称されるA9型艦上戦闘機が参加し、対する王国海軍も世界初の空母運用国の名に恥じないため、オーバーホールを終えた空母「インコンパラブル」が参加する。
「もちろんうちの部隊も参加だ」
「あの二人は?」
 烏と黒猫はどうすするのか疑問に思った魔女は鷲に尋ねる。
「もちろんあいつらもだ」
「最初に撃墜判定もらったりして」
「だろうな」
「えっ?」
 おどけた魔女の言葉に鷲は静かに返す。
「実際戦争になったとしたらゼーヴィント捨て駒だ。トロい上に足も長くはない」
「残酷ね」
「まぁ、あいつらなら大丈夫だろう」
 鷲はポケットから電子タバコを取り出して咥えると窓の外に目を向ける。魔女がその視線の先を追うと非番の兵が雪玉を投げ合っているのが見えた。烏と黒猫も一緒になって雪玉を投げ合っている。
「あら、一機撃墜」
黒猫の顔面に雪玉が直撃し白い雪片が飛び散る。ちょうど全力で投擲しようと大きく振りかぶっていた身体が倒れ、盛大に尻餅をつく。その様子を見て周囲の全員が笑う。
「やれやれ……」
鷲は眉間を抑えながらため息をついた。


北海 201Y/2/04 FS-04 09-0716号機 "アドラー"

鷲はディスプレイ上の地図と時計を確認すると空中給油装置をチェックする。自己診断プログラムが作動し、機首の右側面にしまわれていた空中給油プローブが姿を現す。
「間もなく給油ポイント。各機、給油系をチェックせよ」
「ヘクセ、チェック」
「クレーエ、チェック」
「カッツェ、問題なし」
後ろに付き従う三機は全て異常がないことを報告してくる。
「よし、全機大丈夫だな。エコー1よりミルヒクー、空中給油を要請」
「ミルヒクーよりエコー1、そちらの南西一五マイルの地点で待機中、今なら待ち時間なしでご案内できるぜ」
陽気な空中給油機のパイロットが返す。鷲の目指す方向に灰色に塗られた大型機が見えた。
「了解ミルヒクー、クレーエ、カッツェ、お前らが先にいけ」
「ウィルコ」
烏と黒猫の機体が加速して鷲の機体を追い越す。ライアーよりも燃料搭載量の少ないゼーヴィントにとって空中給油の失敗はパイロットの生死に関わる。
「ミルヒクー、まっすぐ飛んでくれよ」
黒猫が給油機をからかいながら給油機の翼端から伸びる空中給油ドローグに機体を近づける。
ゆっくりと機首から伸びる空中給油プローブをその小さな穴に差し込み、スロットルをわずかに緩める。
「バージンはいただき!」
「牛とヤルなんざ変態の所業だな」
歓声を上げる黒猫を烏が諌める。
「牛乳嫌いになりそうだ」
鷲が呆れた様子で言うと給油機の斜め後方に機体をつけた。周囲は一面の海で、遠く前方に本国の海岸が見えた。これから漁に出るらしき漁船が数隻、真っ白な航跡を紺色の海面に引きずりながら北上してゆく。
「隊長殿は私の使用済みの穴をお使い下さいませ」
給油を終えた黒猫は慇懃無礼に言いながら機体をバンクさせて給油機から遠ざかる
「カッツェ、それ以上変なこと言ったらあんたの顔に27ミリの口を増やすから」
魔女はマスターアームを対空射撃モードにセットして黒猫の機体を照準の中央に捉える。
「ひゃぁ、くわばらくわばら」
アラート音に驚いた黒猫は翼を上下に振り、味方機である意思表示をする。まだ空中戦が羽布張りのレシプロ機だった頃からのパイロット間のサインだ。
「風通しが良くなって頭の回転が早くなるかもしれんな。クレーエ給油完了」
「そう? 脳みそが減っちゃうかもしれないけど」
烏の言葉を受けた魔女が燃料計を確認しながら追い打ちをかける。
「皆その辺にしろ。ピクニックに行くんじゃないんだぞ」
「……」
いい加減しびれを切らした鷲が怒気を孕んだ声で編隊を一喝し、全員が口を閉ざす。
「やれやれ、ルドルフ基地にだけは配属されたくないな」
会話の一部始終を聞いていた給油機のパイロットが苦笑した。


北大西洋 201Y/2/06 FS-04 11-0109号機 "ヘクセ"


――これだけの数の味方を見るのは久しぶり。
 魔女が視線を向けるどの方向にも翼に北極星の紋章を描かれた王国軍機が並んでいる。
昨年の巡洋戦艦襲撃の際よりも更に多くの機体が今回の演習には参加している。
「全機へ、こちらは空中管制機ゴライアス。オーデル演習作戦へようこそ。当機が管制を担当する」
 管制機からの通信に各部隊が応えるとそれぞれ数機ずつの小編隊に分かれ、制空隊は高度を上げてゆく。
「これより無線封鎖に入る。ヘクセ、しっかりついてこい」
「了解」
 鷲は一気に高度を下げ、魔女もそれに続く。数マイルの間隔をもって合計24機の王国軍機が皇国艦隊へ向かう。これに空母「インコンパラブル」から発進した艦上機16機が合流し、総勢40機の攻撃隊で皇国艦隊を叩く。
 訓練三日目の今日は王国側が陸上機と共同でヨーロッパを目指す皇国艦隊を洋上で阻止するというシナリオのもとに行われる。
 

 対する皇国海軍もレーダーで接近してくる王国軍機と艦隊を捉え、戦闘準備に入る。
 イージス艦が最大出力でレーダーを動かし、空母「シナノ」からも続々と艦載機が発進していく。
 電磁カタパルトに固定されたA9型艦上戦闘機、業風が前進角をもった外翼を広げる。外翼がロックされ、パイロットが素早く舵を操作して動作確認を行う。甲板作業員がハンドサインで準備完了を示し、甲板から灼熱のジェット廃棄を逃すブラストシールドが立ち上がる。
「ソーへイ1、発艦を許可する」
 パイロットが最大までスロットルを倒すとエンジンの生み出す莫大な推力で機体が沈み、機体の後ろに陽炎が現れる。。
 電磁カタパルトのシャトルが独特の作動音と共に滑り出し、業風とパイロットを毎時130ノットまで加速させる。甲板を離れた業風は脚を引き込み、文字通り風の様に空へと舞い上がる。
「ソーヘイ1の発艦確認。アシガル2は発艦位置へ」
 エレベーターから姿を表したB8型艦上攻撃機、新星が牽引車に引かれてカタパルトに固定される。


攻撃隊に先行して蒼空を翔ける制空隊のFI-05オイレに管制機からの通信が入る。
「リッター隊、そちらの空域に敵機が侵入。機数12、業風。距離140マイル」
「コピー、ゴライアス」
 管制機からの指示に8機のオイレがマスターアームを起動し、視界外の業風を探し求めて電子のサーチライトを照射する。
「射程に入り次第中距離AAMで先制攻撃を掛ける。何度も言うが絶対に格闘戦だけは避けろ。撃墜よりも敵機の誘引を優先だ」
「ラジャー」
 隊長機の指示に了承の意を伝えた列機がスロットルを開く。エンジンが音が高くなると共に矩形の推力偏向ノズルが窄まり、濃淡の灰色に塗り分けられた機体をさらに加速させる。
 爆音を鳴らしながら機体の周囲の水蒸気が凝集され、パイロットの視界を真っ白に染める。オイレのの菱形断面を持つ機首が水蒸気の傘を引き裂き、音速を超える。電子のミミズクはその感覚を鋭敏に研ぎ澄ませる。
「攻撃隊は予定通りの進路を維持せよ、敵迎撃機は我々が引き受ける」
「敵機、射程内」
 ヘッドアップディスプレイのマークが攻撃射程内を表すものに変わり、ロックオンを示す電子音が鳴る。
「いいぞ。リッター各機……撃て!」
 胴体下側のウェポンベイが開き、模擬弾がせり出す。
「リベレ、FOX3」
「ビーネ、FOX3!」
 編隊はチャフを放出しながら散開して撃ち返されたミサイルを回避する。
「ゴライアスよりリッター、敵機2機の撃墜を確認」
「リッター7、リッター4撃墜判定」
 撃墜判定をくだされた機体が編隊を離れて空域を離脱する。
「敵護衛機をやるぞ。各機続け!」
 残る5機のオイレが隊長機に続き、次の獲物に狙いを定める。



 迎え撃つ皇国側ぼ業風も自らの得意とする格闘戦に誘い込むべく距離を詰める。数機がさらに撃墜判定を下されるが、堂々と正面から突撃する。
「ソーヘイ4がやられた」
「ジンプウ隊は攻撃機の迎撃を優先しろ。敵護衛機はソーヘイ隊が引き受ける」
6機の業風が翼を翻し低空の攻撃機編隊へ襲いかかるべく機体を傾ける。が、そのうちの2機のコックピットにアラーム音が鳴り響く。
「ジンプウ3と5がやられた!」
 FI-05は快速とステルス性能を活かして皇国軍の迎撃機に素早く忍び寄り、瞬く間に二機の業風を戦線から離脱させた。
「ジンプウ2、やるぞ」
 既に両者の距離はレーダーではなく赤外線で捉えられるまでに近づいている。両軍機の機首の赤外線センサーが獲物を求めて餓えた獣の目のごとく空域を見張る。
 業風のうちの一機が未熟なパイロットの操るFI-05に狙いを定める。可変ストレーキ広がって気流をかき分け、機体の縦方向の不安定性を増大させると共に揚力の均衡を崩して一気に機首の向きを変える。補助翼や水平尾翼がせわしなく動いて機体の安定を維持する。
 パイロットの下肢がGスーツによって締め付けられ、うめき声を上げながらFI-05に照準を合わせる。左翼下に吊り下げられた短射程ミサイルの赤外線シーカーが群れをはぐれたオイレを捉え、四角い枠線に菱形のマーカーが重なる。
「ソーヘイ1、敵機撃墜」
撃墜されたFI-05は諦めたように機体を水平に戻し、負け犬の帰り道――撃墜判定を下された機体の通るべき航路へ機首を向けた。


――始まった。
 上空ではレーダー波と無線が飛び交い、その下をこっそりと40機の攻撃編隊が潜り抜ける。
魔女は正面の空を睨む。レーダーにはまだ何も写っていない。だが何か嫌なものを感じる。
 警告音と共にサブディスプレイにレーダー警告を示す文字列が表示される。
敵艦隊のレーダーがこちらを発見したのだ。
「攻撃チームウイスキーよりゴライアス、敵レーダーに捕捉された。射程まであと30マイル」
「了解ウイスキー、一機でも多く辿り着かせろ。電子戦機はジャミングを開始」
「マギーアより各機、ジャミングを開始する」
ウイスキーチーム後方より敵迎撃機接近。シュッツェ隊、追い払え」
随伴する電子戦機が電子戦ポッドを起動して敵のレーダーへの妨害電波を放出し、寄り添うように飛んでいたオイレがそれまでステルス性を維持するために畳んでいたストレーキを広げて反転する。
「警告、敵迎撃機よりミサイル!」
ECMを行いつつ散開」
散り散りに
「ロメオ3、撃墜判定」
「あぁクッソ! 離脱する」
「シエラ2、撃墜判定」
「やられたか……」
コンピュータによって死を宣告されたパイロットがそれぞれに悪態やため息をつきながら脱落してゆく。
 先行する鷲は機体の下側から生えた安定板が今にも波頭を叩きそうなほどに高度を下げている。
――大丈夫、きっとついていける。
 魔女は僅かに操縦桿を前に倒して高度を下げる。風防越しに海面が迫るが魔女は恐れを振り払うように首を振ると水平線の果てに目を凝らす。
――私と同じ国で生まれた艦隊がこちらに砲口を向けている。
 それが実弾でなく電子のビームだとしても背筋が冷える気がした。魔女はミサイル射程までのカウンターに目を向ける。あと5マイル。
 護衛のオイレが攻撃編隊に襲い掛かろうとする業風の編隊に牽制のミサイルを撃ちこんで妨害する。
「タイガー4、撃墜判定」
「マジかよ!」
 さらに艦隊からの艦対空ミサイルも迎撃に加わり、魔女のすぐ隣りを飛んでいたFS-04が悔しそうに上昇してゆく。
――捉えた。
アドラー、ブルーザー」
「ヘクセ、ブルーザー!」
 他の攻撃隊からも次々にミサイルが発射され、100本を超す対艦ミサイルが皇国艦隊めがけて放たれる。
「さぁもう用はない、逃げるぞ」
 ストレーキの根元から鋭く水蒸気を曳きながら鷲の機体が右旋回をはじめ、魔女がそれに続く。後続のFS-04も次々に翼を翻して反転する。
 皇国軍の迎撃機がオイレを振り切った頃には既に全ての攻撃編隊機が高度を上げて離脱していくところだった。
 対艦ミサイルを撃ち切った攻撃機を撃ち落としたところで、既に発射されたミサイルが消えるわけでもない。皇国軍のパイロットたちは阻止できなかった悔しさに唇をかみながら艦隊上空へと戻っていった。


 洋上で様子を見守っていたゼーヴィント隊にも管制機からの指示が下る
「ゴライアスよりオスカー遊撃隊、方位150でウイスキーチームとまもなく接触
「オスカー遊撃隊よりゴライアス。了解、援護に上がる」
 遊撃隊長の言葉に出番を待ち望んでいたパイロットたちは次々にエンジンを始動する。
「やっと出番か。ケツが痛くなっちまった」
「ブーツ履きを舐めたらどうなるか見せつけてやる」
 黒猫と烏も愛機のエンジンを始動し、再度機体のコンディションを確認する。エンジン、操縦系統、
 補助動力装置の唸りが低いエンジン音に変わり、沿岸の各基地から集められたゼーヴィント隊が加速を始める。離水と同時に補助インテークが引き込まれ、機体下面のインテークから勢い良く真冬の冷たい空気を掻きこみ、水滴を迸らせながら空へ昇ってゆく。


 帰途につく攻撃編隊に管制機からの通信が入り、再び緊張が走る。
「ゴライアスよりウイスキー攻撃チーム、方位060に機影。機数18、新星改、敵。高度15000。余力があれば各編隊の判断で任意に交戦せよ」
「燃料は十分。やるか?」
「もちろん」
 魔女はマスターアームを空対空モードに切り替える。電子音と共に敵影がレーダーディスプレイ上に現れる。中世の騎兵のように正面からぶつかり合う構えだ。
「間もなく交戦距離。距離16マイル。ヘッドオン」
「ヘクセ、エンゲージ」
 どちらも対艦ミサイルを四発搭載しての対艦攻撃を想定した装備なので対空装備は自衛用の短距離対空ミサイル二発のみ。
ヘッドアップディスプレイに緑の正方形が数個出現し、魔女は発射ボタンに指をかける。
 最初の突撃で、両軍ともに数機に撃墜判定が下った。
 反転してお互いに相手の背後を取ろうと旋回戦が始まる。翼面荷重は艦上機の新星改の方が軽いが、エンジン出力は大型のライアーのほうが上回っている。結果的に小回りのきく新星をパワーにものを言わせた強引な機動でライアーが追いかける形になる。追う方も、追われる方も振動と荷重に耐えながら相手の出方を伺う。
「クレーエ、FOX3」
突如中距離ミサイル発射コールが入り、魔女を追っていた新星改に撃墜判定が下る。
「オスカー遊撃隊よりウイスキーチーム、ドンパチが見えたんで離水した。援護する」
「カッツェ、FOX3!」
予想外の攻撃に皇国側の統制が乱れ、その隙に魔女は機体を旋回の外方向にずらし、内側に切り返すと目前で困惑する新星改に照準を合わせる。
「ヘクセ、FOX2」
 ミサイルの最小射程距離ギリギリまで敵機ににじり寄った魔女が短くコールする。数秒後、追われていた機が諦めたように翼を振り、高度を上げて離脱していった。

というわけで

お待たせしました。北海の魔女14話ようやくの投下です。
今回は224飛行隊よりも他の部隊中心です。
おっかしーなー俺の予定だと今頃は戦争始まってるはずなんだけど……
あとTwitterとかに書いたとおり文芸社に応募してみた。
未完だし区切りの悪いところまでだけど中立的な観点からの評価がほしいのでダメもとで応募。
Pixivに広告出てたから結構な倍率になると思われますが果たしてどうなることやら。