バルト海海戦(第24話)

共和国 クビンカ基地 201Y/3/27 18:46 54番格納庫 


ミハイルは格納庫で呆然とネオユニバーサルエンジニアリングのロゴのプリントされたつなぎを着た男たちが愛機に群がり、修理と点検を行う様子を眺めていた。
ヴォルコフとレイピアが落とされた。しかもよりによってあの忌々しい魔女によって。
――あの時自分も一緒に降下してしていれば増援が来る前にあの魔女を叩き落せたはずだ。
 シェスタコフ中尉が機転を効かせて無人機のカメラで撮影したおかげで"非常に詳細な"戦闘記録が作成され、本部へと送られた。
 本部からの回答はまだない。
――いっそ早く処分を決めてくれたほうが気が楽だ。
 腕を組んで背中を壁に預ける。レイピアの整備は終わりにさしかかったようで、取り外されたパネルや開かれたメンテナンスハッチが元の位置に戻されていく。
「少佐、こちらにいらっしゃったのですか」
「あぁ、君か」
 声のした方に目を向けると見慣れた小柄な女性がミハイルの横に立っていた。
 リリア・シェスタコフ中尉は戦闘機の操縦席に座っているよりも大学の講堂で教授の話に耳を傾けていたほうがしっくり来る容貌をしていた。
 いや、もし時代がそれを許していたら彼女はその道を選んでいただろう。
 だが二つの大国の間に横たわる対立という怪物はその僅かな可能性を踏みつぶした。
「1930に作戦室に出頭せよとのことです」
「わかった」
 ミハイルは頷くと腕時計に視線を落とす。18時50分、集合まではもうしばらく時間がある。
「ヴォルコフ大尉のことを考えてらっしゃったのですか?」
「あぁ」
 ヴォルコフの機体の信号が途絶えた時、彼女は明らかに動揺していた。
 報告の時には聞かないようにしていたが、今なら聞いても大丈夫だろう。
「ヴォルコフがやられた時、後席ではどうだった?」
 シェスタコフ中尉は少し迷った。さきほどの報告で一つだけ話さないでいた事があった。
「これは大佐にも話していないのですが……」
 彼女は意を決したようにミハイルの耳元に顔を近づけて耳打ちする。
「後席のディスプレイには『消去シーケンス完了』と表示されていました」
「どういう意味だ?」
 ミハイルが険しい表情をシェスタコフ中尉に向ける。
「わかりません、ただヴォルコフ大尉の機体が破壊されたのはミサイルや燃料の誘爆ではないと思います」
「根拠はあるのか?」
 ミハイルの表情が険しくなり、シェスタコフ中尉は少したじろいだ。
「表示されたカウントダウンがゼロになったのと、信号が途絶えたのは同時でした」
「レイピアに自爆装置が搭載されているとでも?」
 レイピアには何箇所かブラックボックスがある。そこに触れることが許されているのは補修機材と一緒に送られてきた技術者たちだけだ。
 そもそも共和国空軍の中でも限られた者だけしかレイピアに近づくことを許されていないのだ。
「バケモノめ」
 彼女にはミハイルの呟きが機体の性能に対するものなのか、その造物主に向けられたものかはわからなかった。


王国 ルドルフ空軍基地 201Y/3/27 9:02 作戦室


 小さな基地とはいえ、ルドルフ基地の作戦室は二人だけで座るには広すぎる。
 だが、翼を失った黒猫と烏はここにいても何もできることはない。
「情報通り、敵の機動艦隊がバルト海へ向け出港した。中には輸送船および強襲揚陸艦が含まれている」
 バルト海奥深くの軍港を出港した共和国艦隊の衛星写真が正面に投影されている。
「先日のスカンジナビア半島方面への大規模攻勢により、ルドルフとヴィットムントハーフェンの部隊だけでこれを防がねばならない」
キールから出撃した海軍部隊と共に敵艦隊の上陸あるいは海峡突破を阻止せよ。上陸されれば、ベルリンは風前の灯だ」
 
「敵艦隊の戦力は現在判明しているだけで巡洋艦二、駆逐艦六、強襲揚陸艦二、戦車揚陸艦八隻だ」
「なんて規模だ」
 さすがの鷲も驚きを隠せない。これまでに戦った最も大規模な艦隊、アウロラに翼を焼かれた時でさえもっと小規模だった。
 もっとも、その時は巡洋戦艦随行していたからだろう。
「これを私達とヴィットムントハーフェンの部隊だけで……」
 魔女も息を呑んだ。
「以上だ、なにか質問は?」
アウロラが配備されている可能性は?」
「かなり低いだろう、あれは重巡洋艦以上のサイズの艦からしか運用できないサイズだ」
 鷲はいつか見せられたアウロラの宣伝ビデオを思い出す。いかなる発射機からも発射可能というのが謳い文句だったが、対空ミサイル用のランチャーから飛ばすには少々荷が重いだろう。
「対艦ミサイル用のランチャーから発射してくる可能性は?」
「もしそれをネオユニが提示しても共和国は嫌がるだろう。彼らの持つ最大の武器だからな」
「なら、いつも通りですね」
――いつも通り、か。
 魔女の言葉を鷲は心のなかで再度呟く。戦争が始まってから久々に聞いた気がする表現だ。
バルト海は狭い。共和国本土から護衛機がわんさか飛んでくるぞ」
 思い出したように司令が付け加える。
「もしそうだとしても、その相手は『我々の仕事ではない』わけですね」
「その通りだ」
 鷲は言ってやったり、といった表情を浮かべ、司令も頷いた。


バルト海 バーンホルム島沖 FS-04 14-1031号機 "ヘクセ"


 ライアーの丸められた主翼が潮風を無遠慮に切り裂き、後続の機のエンジンが酸素をエアインテークいっぱいにかきこむ。
「空中管制機ミステルよりエコー、フクス、レーヴェ各隊へ。敵艦隊はそちらから北西250マイル。進路を維持したまま接近せよ」
「こちらリッター隊、敵の護衛機を捕捉した。交戦する」
 先陣を切る制空隊が交戦し、レーダー上で無数の輝点がもつれ合う。
 艦隊の上空を守っていたジュラーヴリクとこちらを先導していた護衛機が戦闘を始めたのだ。
――始まったな。
 鷲は再び正面に意識を集中し、目標までの距離を確認する。


 共和国艦隊も護衛の航空隊に負けまいと招かれざる客を追い返す準備をはじめる。旗艦に敵機発見の報告が入り、司令室が慌ただしくなる。
「敵編隊接近、迎撃範囲に入りました」
 レーダー画面から目を離さず、担当士官が状況を報告する。
「カクトゥスをA1からF2まで発射」
「了解、A1からF2発射します」
 発射ボタンが押され、護衛艦隊の巡洋艦から次々にミサイルが発射され、南西の空へと飛んでゆく。
 ミサイルの弾頭にはネオユニバーサルエンジニアリングのロゴが誇らしげに描かれている。
 カクトゥス防空ミサイルには一発あたり三ダースの安定翼付き徹甲弾が装填され、少ない弾数で効果的に航空機を『ボロ布のように』撃ち落とせるというのがネオユニの売り文句だった。


「ミステルより各機、敵艦隊がミサイルを発射。接触まで120秒」
「ミサイルか! 回避しろ」
 鷲の命令に魔女は頷き、ECMポッドから妨害電波を放射しながら機体を右へ滑らせる。
「ミサイル、消滅」
 いつかと同じように、ミサイルの反応はレーダー上から消えた。
アウロラか……?」
 管制士官の怪訝そうな声がレシーバーから流れる。
 だが、アウロラはある程度の高度があって初めて威力を発揮する兵器だ。
 こんな低高度で展開してもライアーはやすやすと炎の壁の隙間をくぐり抜けられるだろう。
 その時、無数の鋼鉄の矢が編隊に浴びせかけられた。
「レーヴェ2被弾! なんだ……くそ、エンジンが……!」
 先行するライアーがエンジンから黒煙を吹き出し、バランスを崩す。キャノピーが弾け飛び、パイロットが脱出する。
 もう一本の矢がその横を飛ぶ機の風防を貫き、操縦室内に赤い飛沫を撒き散らす。"頭脳"を失ったライアーがぐらりと傾いて海面に突っ込み、巨大な水柱をあげる。
「どうなってやがる……」
 鷲がそう呟いた時、鋭い音とともに金属をすり合わせたような不快な音がコックピットに反響した。風防の右側に一本、鋭いひっかき傷が走っている。
――そういうことか。
 恐らく敵はキャニスターかフレシェットのような弾薬をミサイルに詰めてロケットブースターのついたショットガンのように乱射しているのだ。
「散開しろ、ヘクセ。固まってたらまとめてやられる」
「了解」
 魔女はいつもの調子で答え、鷲の機体からさらに離れる。
 彼女もまた、編隊を襲ったのがどんな攻撃なのかを見極めようとしていた。
 敵のミサイルが消えて数秒後にその延長線上に無数の金属の矢が飛んでくる。
 パターンさえわかれば、最小限の動きで回避は可能だ。魔女はミサイルが消えるたびに注意深く軌道を予想して機体を傾け、鉄の矢を避ける。
――流石だ。
 鷲もミサイルの軌道から散弾の飛んでくる範囲から逃れる。
 不運な機体が黒煙を吐き、主翼の桁を引き裂かれてバルト海へと沈む。だが、北極星を翼につけた水鳥たちは怖気づくことなく散弾の嵐をかいくぐり、じりじりと上陸艦隊へ距離を詰める。
「ミステルより攻撃部隊、敵艦隊が射程に入った。攻撃を開始せよ」
 鷲と魔女のエコー隊は艦隊中央の大型揚陸艦を担当する。メインディスプレイで目標の大型揚陸艦の反応を捉えたことが表示される。高い電子音が鳴り、早く撃てと操縦者を急かす。
アドラー、ブルーザー」
「ヘクセ、ブルーザー」
 主翼の下に並んだ四本の槍が切り離され、機体が一瞬ふわりと持ち上げられる。魔女も対艦ミサイルを放った。
 水色の六角柱が次々にライアーの翼から切り離され、ロケットモーターに点火して敵艦隊めがけて突き進む。
「よし、帰投する。あとは海軍に任せよう」
 鷲の機体が翼を翻し、魔女もそれに従う。


 上陸部隊を護衛する共和国艦隊の旗艦、巡洋艦ウスチーノフの司令室はなおも接近してくる王国軍機への対応に追われていた。
 攻撃機を妨害し、艦隊を守るはずだった護衛機は王国空軍のステルス機と後続の軽戦闘機によって追い散らされ、いまや艦隊は丸裸同然だった。
「敵編隊、ミサイルを発射」
 レーダー士官が息を呑んで報告する。数を減らしながらも接近してきた敵編隊から多数の小さな影が切り離され、大きな影は次々に回れ右をして南西へ引き返してゆく。
「ミサイル迎撃を最優先、揚陸艦を守れ!」
 後部甲板に並んだ発射機からは防空ミサイルが放たれ、速射砲が滑らかに旋回して仰角を合わせ、130ミリのつぶてを投げつけ始める。
 懐に飛び込んできたミサイルの弾頭を防空機関砲が食い破り、真っ赤な火球を生み出す。
 爆炎の間隙を縫ったミサイルが駆逐艦の艦橋を吹き飛ばし、マストをなぎ倒した。
 近接防空システムをくぐり抜け、揚陸艦ニコラーエフの舷側に四本のミサイルが突き刺さる。音の二倍近い速さで舷側に飛び込んだミサイルは外板をやすやすと貫通し、高性能爆薬で隔壁を乗員ごと引き裂く。喫水線近くに黒い穴が空き、艦内に大量の水が流れ込む。
「こちら揚陸艦ニコラーエフ。浸水発生!速度が保てない!」
 揚陸作戦の中核となるはずだった大型揚陸艦は傷口から燃料と黒煙を吐き出しながらゆっくりと左舷へと傾いてゆく。
「艦長、機関室より報告、隔壁が損傷し、第一エンジンが停止。第二エンジンも排水が間に合いません」
「右舷の注水はどうだ?」
 ニコラーエフにとって幸運なことに、ミサイルが船体側面だけに飛び込んだおかげで指揮系統は維持できた。
「発電機がやられました。ポンプが稼働しません。傾斜角は現在6度」
 だが、それは苦渋の決断を艦長に突きつけた。全員の視線が艦長に突き刺さり、艦長は帽子を整え、静かに命令を下した。
「……総員退艦せよ。兵員はドックの揚陸艇に移乗させろ」
 もはやニコラーエフは沈没を免れ得ない。
――ならば部下や乗艦している兵士たちを一人でも多く生き残らせる。
 それが艦長の決断だった。
「了解しました。総員退艦!」
 その間にも船体の傾きは増し、車両甲板では装甲車を固定するワイヤーが弾け、積荷が重力に引かれるがままに滑って左舷の壁にぶつかる。
 機関室には大量の水が流れ込み、ガスタービンエンジンを濁流が飲み込んでゆく。
 艦後部のハッチが開き、戦車の代わりに乗組員と兵士を乗せた揚陸艇が命からがら脱出し、舷側の救命ボートが放り出された乗組員を拾い上げながら沈みゆく母艦から離れてゆく。
 数キロ離れたところを航行する別の揚陸艦もブリッジから黒煙を吹き上げている。
 王国空軍の攻撃機揚陸艦を狙い撃ちにし、護衛艦にも少なくない損害を与えた。


「損害報告!」
 豪華な装飾の施された帽子をかぶった提督は苦い表情で次々に読み上げられる報告に耳を傾ける。
「閣下、ニコラーエフはもうダメです。コロレフは火災が発生していますがロゴフには損害なし、他三隻の揚陸艦の損傷は軽微です」
「しかし護衛艦の中にも被弾している艦が複数あります」
 アンテナが損傷しているのか、ノイズまみれの無線が入ってきた。
「こちらヴァージュヌイ、艦内各所に火災発生、火が弾薬庫のそばまで来ている! 消火が間に合わない、総員退……」
 声は爆発音に遮られ、金属の捻れる音とともに無線も途切れた。
 駆逐艦ヴァージュヌイは艦首から三分の一のところから炎を吹き出し、二つに折れてバルト海に沈んでいった。
 爆発の衝撃は海中を伝わり、僚艦であるウスチーノフの船体をも震わせる。
「ヴァージュヌイ、轟沈……」
 レーダー士官の声も、震えていた。
「作戦本部より閣下を呼び出すようにとのことです」
 通信士官が直通回線を提督の席に回す。提督は咳払いをしてから受話器を取り上げた。
「はい、閣下。しかしこのままではバルト艦隊は……」
 不穏な言葉に18人分の視線が突き刺さる。
「……了解しました。このまま前進を続けます」
 本部からの命令に頷くと、提督はハンカチで額の汗を拭った。


「ミステルより攻撃部隊各機へ、敵艦隊に多数の命中弾を確認。揚陸艦一隻を撃沈、駆逐艦一隻が轟沈。護衛艦隊にも複数の命中を確認」
「よしっ」
「やったぜ!」
 生き残ったライアーのパイロットたちから歓声が上がる。
 今回の作戦に参加したのはこれまでずっと地上支援や防空任務に回されていた対艦攻撃のスペシャリスト達だ。
 重い対艦ミサイルを発射し、身軽になった水鳥達の身のこなしは軽やかだ。対空ミサイルの射程外まで逃げるのに行きの3分の2もかからない。脅威圏外まで脱すると編隊は高度を上げ、空気抵抗の少ない高空を飛んで本国へと針路を向ける。
「あれは……」
 鷲は雲の切れ間から海上に白い筋を見つけ、すぐに艦船の航跡だと理解した。
 キールを出港した王国の艦隊が広い間隔を保ちながら彼らの来た方角へ向かってゆく。
――次は、彼らの番か。
 波を蹴立てる艦隊の旗艦、ノーフォークのマストには北極星の描かれた旗とともに、いにしえの海戦に倣い『各員がその義務を尽くすことを期待する』を意味する信号旗が翻っていた。



王国 ルドルフ空軍基地 201Y/3/27 17:07 3番埠頭


「こいつが代品か」
 埠頭に浮かぶゼーヴィントを眺めながら黒猫が呟く。
 飛び慣れた機体と形は同じだが、塗色が濃紺になり、コックピット周囲に反射防止の黒い帯が入っているためか、細身の機体はより一層引き締まって見える。
「あぁ、皇国の予備機をロイヤルのお偉いさんが無理言って買ってきたらしい。塗りたてのホヤホヤだぞ。特にあそことかな」
隣に立つ烏は機体の各所を指差す。
 言われてみれば皇国の太陽の紋章の上に無理やり王国の北極星の紋章を重ね塗りした跡が残っている。
「皇国って地球の裏側じゃねーか。すんげー所からもってきたな」
「いや、こいつはたまたま地中海にあったのを持ってきたらしい」
 国家の非常時にあって、ロイヤルは皇国海軍の予備機材を運んでいた貨物船を文字通り『丸ごと』買い上げて積荷を各戦域に割り当てた。
 おかげで彼らは飛べない悲しみから開放されたのだから、結果的には良かったのかもしれない。
「んなことより、一緒に運ばれてきたコンテナの中身は何だ?」
 港に入港した貨物船からは次々に予備機材や補給物資のたぐいがトレーラーに載せられて基地に運ばれていった。その中にはゼーヴィント――皇国式に呼ぶならN2K"海風"――用の武装も含まれていた。
「49式魚雷、だとさ」
「魚雷ィ!? 骨董品じゃねーか」
 戦艦時代の遺物の名称に黒猫は耳を疑った。だが烏は真顔で言葉を続ける。
「だがミサイルと違って迎撃される心配がない。原始的だが、効果的だ」
「でもようジーク、あんなデカくて重いもん積んだら飛べねぇぞ」
 2トン近い重量の魚雷を積めば、フロートと合わせてかなりの重量になる。
「あぁ、だから皇国のやつらは魚雷を積んだら飛ばない」
「水上戦闘機が飛ばなくてどうすんだよ……まさか」
 脳裏に突飛すぎる予想が浮かんだが、黒猫はそれを振り払った。
「多分お前の予想は大当たり……お、おしどり夫婦が帰ってきたぞ」
 烏がオレンジ色に染まり始めた空を仰ぐ。ルドルフ基地の上空を低いエンジンを轟かせながら二機のライアーが並んで横切る。
 くすんだ空色の翼の下には自衛用の電子戦ポッドと短射程ミサイルだけが残っている。
「狩りはうまくいったのかな」
「さぁてな」


 この日、航空攻撃に続く艦隊決戦で王国海軍は数的に劣勢ながらも共和国艦隊を打ち破り、上陸の阻止に成功した。王国海軍Uボート部隊は共和国海軍を追撃し、バルト海艦隊を壊滅的な損害を与えた。共和国はバルト艦隊の主力を失い、同時に制海権をも失った。